『ジョーカー・ゲーム』&歌集『海がはこぶ』(倉松しん子)
ちょっと古い作品だけども読了。面白かった。旧参謀本部付きの秘密機関"D機関"。そこはスパイ養成機関だった。。。というもの。中野学校をモチーフにしているのはいうまでもない。化け物スパイが養成され活躍する短編連作。結城中佐の造型が見事。
- 作者: 柳広司
- 出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング
- 発売日: 2008/08/29
- メディア: 単行本
- 購入: 4人 クリック: 168回
- この商品を含むブログ (203件) を見る
歌集『海がはこぶ』(倉松しん子)は先月末に頂きました。
ありがとうございました。
十首選
荷を運ぶ駱駝がミラーに映りおりわれが止まれば駱駝も止る
つかれはて二日つづけて着るシャツに二日つづけてカレールー落つ
菖蒲草のささめきを日傘によけてゆく引き込まれぬよう笑顔しぼりて
SHISEIDOのSのそよぎにあこがれし十八のころ君に出会いき
週一度友と水辺に語り合う壺のうちがわのぞかぬように
風を跨ぎ堤を下りて陽だまりのイヌノフグりに云う卑怯じゃないの
蓮根も水菜も好きよシャキシャキと詩よりも高くこめかみに鳴る
猫を抱きだましだましに爪つめば子たちとの日日ほっこり戻る
焼き上がる西京漬の匂よし何でも涙のもとになる歳
わが声か われへの声か ごめんなさいごめんなさいと洗濯機まわる
以下雑感
- 猫の歌が多い
- 老いの歌が多い→こどもを想う歌が多い
- 「風知草」の一連がよい
- 身めぐりの世界から幻想の世界へ飛ぶことが多いが、ものすごく飛ぶというわけではない。半歩ほどの飛翔。