法橋ひらく『それはとても速くて永い』
- 作者: 法橋ひらく,東直子
- 出版社/メーカー: 書肆侃侃房
- 発売日: 2015/03/13
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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春ごろいただきました。ありがとうございます。
10首選(〇1首選)
湯で割ったポカリスエット飲み干して発熱体として横たわる
半減期みたいなもんかとひとりごち不謹慎だと詫び入ることの
どうだっていいよそんなの終らない愚痴聞くときの爪先の負荷
ジーンズの裾を汚して雨の日は無声映画の主役のように
〇自意識が孤独を作る自意識をしばらく置いてデザート美味い
辞めてどうなる越してどうなる脳のなかしゃべってんのはほんとに俺か
デンマーク風オープンサンド見た目よりずっしりとくるこれは良いランチ
衝立のむこう詩的な会話だな社員証に秋の日は跳ねて
背の高いひとに生まれてみたかった西日のなかに消え残るから
ラストオーダー欲張りながらひとしきり頭皮のケアについて語った
- 基本、上手い(10首めなど特に)
- やや「綺麗系」に偏りはあるが(ふわふわ感はそれ由来かも)、例外的に語彙をとりこむことに貪欲だと感じた
- 年若いトレンドは、語彙限定的なので
- 男の身体性に自覚的
- 認識の歌に特徴があって面白い。
- いっぽうで説明が過剰なぶぶんがあり、すこし損をしているように思った。
- 読者を信用しきれていないのかもしれない。
以上です。