土岐友浩『Bootleg』

Bootleg (新鋭短歌シリーズ)

Bootleg (新鋭短歌シリーズ)


初夏ごろいただきました。
ありがとうございました。


10首選(☆1首選)


なにもわかってない、あなたは。というのを思いがけずほめ言葉でつかう
まるでそこから浮かび上がっているようなお菓子のそれでこそビスケット
牛乳を電子レンジであたためてこれからもつきあってください
歩いたらそこまで行けるものとしてたとえば宇宙センターがある
海に来て何もできずに立っている海の生きものではない僕よ
乗客は乗り込んだのに雨の日のドアをしばらく開けているバス
☆できるならこうしてずっとプリンタを買わずに済ませたい雨上がり
あの海の音がきこえてくるだろういまの電気がなくなったとき
ゆびさきに春の砂糖をつけながらドーナツの輪をちぎる仕草は
風速を平均したら4ノット もらった梨と買ってきた梨

  • 言葉にストレスをかけないように注意深く作られている。
  • あるいはストレスのかかる言葉をはじめから省いている。
    • よって、うらうらと明るいのだが、そこでいらいらとしてはいけない
    • ある種の潮流においては、字余りと句またがりを積極的に用いて、リズムを変えているところに独自性がみえる
  • エッセンスとして、相聞と青春の憂いが、おおきなみどころである。
    • 第一歌集の古典的王道をはずしていないところも特徴


以上です