『蓮喰ひ人の日記』(黒瀬珂瀾)
- 作者: 黒瀬珂瀾
- 出版社/メーカー: 短歌研究社
- 発売日: 2015/08/30
- メディア: 単行本
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夏の終わりにいただきました。
ありがとうございました。
10首選(☆1首選)
国の苦をおのが苦として歌ふこゑBasicallyと繰り返しつつ
君が代が爪弾かれつつかなしいぞ教会の床を濡らせるビール
母はしづかな忘我の管と思ふとき背に犇めける九〇〇〇ポンド
☆妻と嬰児は夏のひかりを分けあひて真白き部屋に尿[pee]の香は顕つ
汗ばめる髪に苺の香りして児はわが胸をこころみに吸ふ
土耳古樫葉[トルコオーク]に裂け目は深し児の来たるからには父母にならねばわれら
まろまろと息する命背負いつつカルピス原液二リットル抱く
遠くまで来たのだ金正日の死が一面に配されざる程度には
テムズの霞に立てる親子のゆきだるま頭のしたに胸と胴ある
香り玉のやうなうんこを転がして児は英国に残すものなし
- 2011年、ダブリン・ロンドンでの(妻の)留学のさいに、子の誕生があるという展開
- 詞書がなくとも成立する子の歌に良い歌が多い
- 尿、吸ふ、胸、など身体性の再発見や確認
以上です