2011-01-01から1年間の記事一覧

2011年文藝ベスト3

第3位 二流小説家(デイヴィッド・ゴードン) 二流小説家 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ)作者: デイヴィッド・ゴードン,青木千鶴出版社/メーカー: 早川書房発売日: 2011/03/10メディア: 新書購入: 3人 クリック: 159回この商品を含むブログ (84件) を見る 「…

2011年マンガベスト3

3位 外天楼(石黒正数) 外天楼 (KCデラックス)作者: 石黒正数出版社/メーカー: 講談社発売日: 2011/10/21メディア: コミック購入: 34人 クリック: 529回この商品を含むブログ (149件) を見る 近未来SF。最初にレビューしたときは『火の鳥』を思い浮かべたが、…

2011年スポーツベスト3

第三位 京都サンガ天皇杯決勝進出 サンガファンは絶対に忘れない、鹿島との天皇杯決勝とその勝利。 パク・チソンと松井大輔が居たあの黄金期を。 再び、サンガが元旦国立に立つ。 第二位 なでしこジャパンW杯優勝 日本史・世界史に刻みつけられるべき快挙。 …

歌集『朝北』(桜井健司)

歌集『朝北』(桜井健司)はふた月ほどまえにいただきました。 ありがとうございました。 10首選 市場(しじょう)なき日曜日には誰と会わん波の段(きだ)引く入り江遥けし 列島をStagflation覆う日も輝いており金(くがね)相場は 肋骨をとりて企業を作るとう偽書…

『やわらかに曇る冬の日』(今井恵子)

『やわらかに曇る冬の日』(今井恵子)は歌集。 二月ほど前にいただきました。 ありがとうございました。 十首選 江仁屋(えにや)といい古仁屋といいて地図を指すニヤの語源を思いみるべく 大正九年軍事要塞なすべしと加計呂麻島に賑わいのあり 特急がワンッと…

フォアグラ丼

従姉妹の結婚式に行ってまいりました。 おめでとうございます。 2011.11.11に籍を入れたそうです。これは忘れない。 写真は供されたフォワグラ丼。ふぉわぐら、どーん。 おいしゅうございました。

『斉藤茂吉』

『斉藤茂吉』(品田悦一)は評伝。 良書。皆読もうぜ。 本書は茂吉の赤子時代から書き起こした評伝ではなく、 茂吉が「万葉集」に関わった時代にスポットを当てた 変則的評伝である。 作者の品田は万葉集の研究者であり、 本来は、万葉集が明治以降の大日本帝…

歌集『雲鳥』(田中拓也)

歌集『雲鳥』は昨日いただきました。 ありがとうございました。 十首選 うっすらと闇を抱えし樹間より樹間に消えし銀の蜻蛉 車窓より霞ヶ浦の蓮田見え風車見え駅舎見え我が見えたり 大観が幼心に見上げたる青き空なり水戸の空なり 身を穿つ言の葉一つ沈めた…

『地雷を踏む勇気』

『地雷を踏む勇気』は社会時評ネタエッセイ。 絶品。 3.11、九電のやらせメール、フジテレビの韓流オシ、君が代歌わない教員への処罰問題、そしてなにより、原発災害。 見るからに面倒くさい。私にも経験あるが、こういうのをネタに何か書くと、アホが登場す…

『おやすみプンプン』#9と3.11後の世界

『おやすみプンプン』#9はマンガ。 傑作。 『おやすみプンプン』は生き難い人間とうまく運ばない恋愛がテーマである。 しかし、3.11が起きてしまった。 瞬間的にだけだが、個人的な価値が危険にさらされたのである。 しかし、浅野いにおは、素早く反応し、キ…

『外天楼』

『外天楼』はマンガ。 傑作。 石黒正数による意欲作。 ロボットや人工生命の発達した近未来を舞台にしたSFであり、 多くの伏線やどんでん返し、殺人事件を扱ったミステリであり、 「性的なるもの」についての(哲学的)メッセージをこめた ギャグ&シリアスマ…

『ご先祖様はどちら様』

『ご先祖様はどちら様』はエンターテイメント・ノンフィクション。 傑作。 作者の高橋秀実が自分のルーツを、なんとなく探っていく。 別に確たる理由も熱意もあるわけではないのだが、 今現在ここに高橋秀実がいる、という現実がじわじわと これはたいへんな…

『奥州藤原氏』

『奥州藤原氏』は新書。 名作。 奥州藤原氏についての基本知見を述べる。 構成に茶目っ気があり、まず最初に奥州藤原氏の滅亡、をドンと置き、 ついで奥州藤原氏百年について記してゆく。 前九年・後三年役から語りおこし、 源氏(河内源氏)にとって奥州が如…

カンパリ・ソーダの話

バーで飲んでいたら、隣の客がカンパリ・ソーダを頼んだ。 隣の客は二人連れで会話に夢中になっている様子、 私は本から眼を上げてバーテンダーを注視した。 彼(バーテンダー)は、おそらくは適度な状態のグラスに、 おそらくは適量かつ適切な水由来の氷をい…

『子規は何を葬ったのか』

『子規は何を葬ったのか』は評論。 「空白の俳句史百年」の副題付き。 江戸期の三大俳人、芭蕉・蕪村・一茶は、まあ普通の教養人なら誰でも知っているはずである。 ところが、一茶ののち子規登場まで約百年の期間があるのだが、 名を挙げるべき俳人を誰も知…

半年後の話

今日で地震から半年が経ったので、つらつら思うところを述べる。 原発災害について 日本人は、戦争でも天災でも、忘れることで前進してきたが、今回ばかりは無理。 炉は溶け落ちて回収不能、封じ込めも手付かず、現状維持のための冷却システムの一時確立に数…

歌集『一匙の海』(柳澤美晴)

歌集『一匙の海』(柳澤美晴)は今日いただきました。 ありがとうございました。 十首選前髪の触れ合わぬ距離にきみはいて無菌操作のあやうさを言う 生卵るいるい飲み干す父親を水たまりのごとく避けて暮らせり 膝頭さやさや見せて逢いにゆく日は薄羽のスカー…

『空海と密教美術』

『空海と密教美術』は新書。 このあいだ友人をつれて"世界遺産"平泉に行き、 ちょっと仏教押えとくか、という気分になり、 最近バイブルばっか読んでてアレだしな、と思い、 ビジュアル豊富な簡単そうなものを選んで読んでみました。 で、わりといい感じだっ…

『密閉国家に生きる』

『密閉国家に生きる』はノンフィクション。 北朝鮮から亡命したひとびとのインタビューを再構成して、 時系列にのせた一連のストーリーにまとめあげたもの。 舞台を北朝鮮第三の都市・清津に限定したこと、 まとめたのが米国人ジャーナリストであること、 な…

河野先生の思い出

今日は河野先生の一周忌である。思うところは多い。少しだけ思い出を記したい。 河野先生は私の短歌の師である。 とはいえ、短歌については、添削するだとか、そのような「教え」に類することを受けたことは一切ない。 もちろん河野語録は知っていて、たとえ…

『銀の匙』#1

『銀の匙』#1はマンガ。 まだわからないけど、たぶん傑作。 北海道の農業高校で繰り広げられる青春コメディー。 この分野には『動物のお医者さん』『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』という傑作があり、 実際これらの作品のオマージュにあたると思うのだが、 既に…

松田直樹選手がお亡くなりになりました

松田直樹選手がお亡くなりになりました。 哀悼の意を表します。 悲しくて仕方がない。 私が愛するサッカー日本代表の、応援し始めてからの初めての死者だ。 ただ、ひたすら悲しい。 ありがとうございました。

めしばな刑事タチバナ#1

『めしばな刑事タチバナ』#1はマンガ。 傑作。 諸君。 われわれは皆ソウル・フードを持っている。 ソウル・フード。魂が求める食べ物のことだ。 それは当然、安い早い多い、食べ物だ。 カネのない学生のころ、むさぼり喰った、あれらのことだ。 けして、寿司…

ガーディアンが選んだノンフィクション100選

○既読△読書中×未読 【美術】 ×ロバート・ヒューズ『The Shock of the New』 ×エルンスト・ゴンブリッチ『美術の物語』(ファイドン) ×ジョン・バージャー『見るということ』(ちくま学芸文庫) 【伝記】 ×ジョルジョ・ヴァザーリ『画家・彫刻家・建築家列伝…

ヘイトスピーチ

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20110725-OYT1T00537.htm 中国凄いですね。驚愕です。ひとの命が安いんだから、人件費も安いですよね。 さて、 中国や韓国を叩くのは簡単です。ネタは尽きないし、実際に脅威だったりするので。 彼らに差別感情をもつの…

『長崎 唐人屋敷の謎』

『長崎 唐人屋敷の謎』は新書。 長崎といえば出島。 鎖国時代の貿易といえばオランダ、というのが常識だが、 実は清との貿易量のほうが上で、 出島よりも大きい「唐人屋敷」で行われていたんだぜ、というもの。 浮世絵にたくさん描かれている、とか 生老病死…

『イスラム飲酒紀行』

『イスラム飲酒紀行』は紀行エッセイ。 傑作。 ご承知の通り、イスラム圏では酒は厳禁である。 著者の高野は辺境探検家であり、呑み助である。 そんな彼が、ここ十年あまりに訪れたイスラム圏の国々で、 意地になって酒を飲もうと努力してみたら、あれ?なん…

『愛がなくても喰っていけます』

『愛がなくても喰っていけます』はマンガ。 よしながふみが、よく理解できないプライベートを明かしつつ*1、 東京の旨い店(一万あれば十分、要予約)でなにか喰っているマンガ。 はい、面白い。 よしながふみは傑作グルメ&ホモマンガ『きのう何食べた?』を…

『自閉症からのメッセージ』

『自閉症からのメッセージ』は新書。 『自閉症からのメッセージ』は1993年の著作だが、2011年に24刷になっている。 認知・教育のレベルから見た自閉症のテキストで、 日本におけるスタンダードとして確立したものとみていいだろう。 遺伝解析レベルでは格段…

反社会性ゆえに傑作『乙嫁語り』

『乙嫁語り』#3はマンガ。 傑作。 近代・中央アジアの生活を描くマンガ。 圧倒的な細部を誇る超美麗な画、美形お姉さん、美少女、美形少年、美形青年、美形メガネと てんこもり。 現代マンガをリードする最先端のマンガのひとつ。森薫は天才。 現代日本では…