河野先生の思い出

今日は河野先生の一周忌である。思うところは多い。少しだけ思い出を記したい。


河野先生は私の短歌の師である。
とはいえ、短歌については、添削するだとか、そのような「教え」に類することを受けたことは一切ない。
もちろん河野語録は知っていて、たとえば「とにかく作れ」だとか、そういう話はいろいろと人づてに聞いていて、
そういった教えはわりと守っていたし守っているのではないか、と思う。
しかし、面と向かって、短歌について「こうしなさい」的なことを言われたことは、一度もない。
いま思うと、やっぱり淋しい。


そもそも最初の時点で、「あなたはそのままでいいから、塔(短歌結社)になんか入らなくていい」と言われていた。
意図が奈辺にあったのかさだかではないが、「短歌やりたいんで」ということで入会を願ったとき、
仕方ないなあ、という感じであって、ちょっと凹んだのを覚えている。


では、なにをしていただいたのか?
これは簡単で、とにかく、なんだか、褒めていただいた。
もともと褒めるのが物凄く上手いかたで、
こちらとしても調子にのり、なんのストレスもなく、ただただ楽しく歌を作っていた。
いま考えるとそんなことは到底ありえないわけであり、案の定その後いろいろしくじったりするわけだが、
このときの安心感というか黄金期感というのは非常に鮮烈で、いまも支えになっている。
とても大切な記憶である。


ほかにもエピソードはたくさんあるのだが、今日はこのあたりで。