『銀の匙』#1

銀の匙』#1はマンガ。
まだわからないけど、たぶん傑作。


北海道の農業高校で繰り広げられる青春コメディー。
この分野には『動物のお医者さん』『じゃじゃ馬グルーミン★UP!』という傑作があり、
実際これらの作品のオマージュにあたると思うのだが、
既にオリジナリティーを出すことに成功している。


たぶん、それは荒川独特の生命倫理観に由来するもので、
一歩間違えば教育臭はなはだしきものになる類のものであるが、
そうは感じさせないところが力量の確かさを証明している。
そこには『鋼の錬金術師』の最大の謎であった、「賢者の石」が人間の魂そのものである、という
当時はかなりショッキングであった設定を力ずくでねじ伏せた「思想の強さ」、がある。
これは現代日本においてはマイナーな異邦者のものであり、
それゆえ貴重である。


荒川は作品の無駄な延長をしない作家であり、
連載開始の時点で既にゴールやマイルストーンをほぼ確定させているようなフシがある。
全10巻程度のショートストーリーで、あらたな青春マンガを描いていってほしい。
ちなみにタイトルの「銀の匙」はアレ由来なんだろうけれども、
たいへん良いタイトルだと思う。


銀の匙 Silver Spoon 1 (少年サンデーコミックス)

銀の匙 Silver Spoon 1 (少年サンデーコミックス)