2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧
後水尾天皇の評伝。面白かった。 まだ徳川幕藩体制が始まったばかりの家康末期-家光の時代を生きた天皇・院。 京都に「寛永文化」を創出せしめた天皇で、 「後鳥羽院以来」の歌好きとして知られる。 二千首ほどを残しているらしい。 そのほか、修学院離宮を…
SF。ハインラインの書いたジュブナイルSFだそうだが どうしてどうして大人の鑑賞に十分耐える。 近未来では恒星間移動には時空間ワープを起こす「ゲート」が使用され、一般化していた。 主人公はスクールの科目として、詳細を伏せられた惑星でのサバイバルを…
ミステリだがミステリを越えた何か。 主人公は20年ぶりに生まれ故郷の田舎町に帰ってくる。 主人公の弟が行方不明になったのも20年前だ。 そして今、誰かが弟と誰かもう一人の骨を、玄関先に置いていく。 一体20年前何がおこったのか?今何がおこっているの…
これで石黒正数作品はコンプリート。 『アガペ』は『パトレイバー』などと同じく警察マンガのジャンル。 警察内に対犯罪者ネゴシエーター組織が設立され、 そのメンバーとして犯罪者に「100%の愛」(アガペ)を持つことのできる人物が探索された結果、 主人公…
歌集『X 述懐スル私』(岡井隆)は先月初めにいただきました。 ありがとうございました。 10首選 つどふ人なべてわれより若ければランプの芯を細めつつ座す 学説の雪ふかけれど未知未踏なればこそ行け学究なんだろ どこからか女人(にょにん)のかげの射(さ)すあ…
歌集『初めての』(苅谷君代)は先月初めにいただきました。 ありがとうございました。 10首選 執刀の医師の握れるメスの先ほのかに見えて切り開かるる目 水晶体の濁りを砕きしのちの眸(め)に映る空あり初めての 答案用紙に目を擦りつけて採点すかかる姿勢は人…
歌集『ナナメヒコ』(村松建彦)は先月初めにいただきました。 ありがとうございました。 10首選 身をもって事物を測る尺取り虫こんくらいか・う・こんくらいか・う あまりにも月しろしろき道ゆえにいたちのおやじ草間にたじろぐ 髪の毛のうすき形が兄弟のあか…
本格ホラーミステリの傑作。首無し死体が山盛り。 途中で思考を放棄して読むことのみに集中。 前代未聞のトリック。例えるなら、首で撞球をしたというべきか。いやはや。 首無の如き祟るもの (講談社文庫)作者: 三津田信三出版社/メーカー: 講談社発売日: 20…
歌集『十月桜』(岡本幸緒)は9月末にいただきました。 ありがとうございました。 10首選 夕暮れが東京駅にさしかかる ふるさと行きに間に合う時刻 緑なき病院屋上陽を浴びて死にたくなるよ盛夏八月 柔らかになりたしわれもたまねぎもキャベツも春の生まれであ…
青春ミステリ。ちょっとパンチ力に欠けたかな。『駅神』のひとの若書きで、なんとなく未熟さが目立つ感じであった。晩夏 (創元推理文庫)作者: 図子慧出版社/メーカー: 東京創元社発売日: 2010/10/28メディア: 文庫 クリック: 4回この商品を含むブログ (10件)…
旧家赤朽葉家の女系三代記。『百年の孤独』の香りが漂う。 千里眼の祖母・万葉、レディースで漫画家の母・毛鞠、語り手のニートの孫・瞳子が紡ぐ、山陰地方の町の栄枯盛衰が本書。最後に突然ミステリになるところがユニーク。例えば『シンセミア』みたいにす…
硬派歴史ミステリ四編。「漂流巌流島」「亡霊忠臣蔵」「慟哭新撰組」「彷徨鍵屋ノ辻」。いずれも”チャンバラ”に関わるものである。四編ともよい出来。特に、「慟哭新撰組」は学ぶところが多かったし、「彷徨鍵屋ノ辻」は四編の中で一番知名度の劣る事件にも…
京大短歌16号は今月初めにいただきました。 ありがとうございました。 すこしずつ会員数が回復しているとのことで喜ばしい。 一人一首選 大学の北と南に住んでいて会っても会っても影絵のようだ(大森静佳) まっしろな栞を本にしずめつつああそうだよね、そう…
12月の映画公開に向けて予習。 この年になって読むと、いろいろと思うところが違う。 ポルノっぽいと思っていたところもたいしたことはないし、 学生運動をコケにしていることも今回はよくわかった。 これは叩かれるよなあ。 インタビュー集で6人中3人は死ぬ…