歌集『初めての』(苅谷君代)&鋼の錬金術師#27

歌集『初めての<青>』(苅谷君代)は先月初めにいただきました。
ありがとうございました。


10首選


執刀の医師の握れるメスの先ほのかに見えて切り開かるる目
水晶体の濁りを砕きしのちの眸(め)に映る空あり初めての<青>
答案用紙に目を擦りつけて採点すかかる姿勢は人には見せず
白杖の先をゆつくり辷らせてわが掌(て)に伝はる舗道の窪み
少女は見えぬ目を光の方にむけて「春の匂ひ」とよろこびてをり
夢の中に本を読みたるときめきよ目覚めてなほも動悸はやまず
指先に「読む」六点の凹凸が無機質の塊(かたまり)の如くに並ぶ
活字なき日々はつらかりこの夏を本一冊も読まず逝かしむ
他人(ひと)の表情(かお)わからぬゆゑに丁寧に物言へばつけこむ人もありたり
手探りに廊下を伝ひくる少女、魚の跳ねる動作に似たり


以下雑感

  • 圧倒的に眼疾に関する歌が良い。
  • 「夢に読む文字」の一連が良かった。
  • 眼疾の歌以外は借り物の言葉が多い。例えば、家族詠などが少ない。


鋼の錬金術師 27 (ガンガンコミックス)

鋼の錬金術師 27 (ガンガンコミックス)


鋼の錬金術師#27は最終巻。
ラスボス倒して、弟の肉体が戻って、大団円で終了。
だらだら延ばさず物語を纏めたことに好感。