京大短歌16号

京大短歌16号は今月初めにいただきました。
ありがとうございました。
すこしずつ会員数が回復しているとのことで喜ばしい。


一人一首選


大学の北と南に住んでいて会っても会っても影絵のようだ(大森静佳)
まっしろな栞を本にしずめつつああそうだよね、そうだねと言う(薮内亮輔)
(永遠は無いよね)(無いね)吊革をはんぶんこする花火の帰り(笠木拓)
軒下にペットボトルを溜め込んでいつか海でも作る気でしょう(吉岡太朗)
直線を引き続けると前触れなく途中の道で日暮れに遭う(矢頭由衣)
孤独だけあなたの側にいたのでしょうケージの隅で息絶える猫(下澤静香)
ひだまりのテーブルに山盛りの紫蘇なにもかもやがては夏になる(吉田竜宇)
てのひらにてのひらが触れ、わたしでもアベルをきっと殺しただろう(川島信敬)
京大ではスポーツで勝てない。そう思っていた時期が僕にもありました(土岐友浩)
もうなんも、なんもいらへん ピザまんのチーズをのばしている細い舌(東郷真波)
This is a schoolだけが英語なり鉄扉をとじるごとき発音(加藤ちひろ)
ぶぶぶぶと畳の上に震へゐる携帯電話(けいたい)の身は幸薄さうに(澤村斉美)
明日からの家族旅行を絵日記に書きをりすでに楽しかつたと(光森裕樹)
この年の締めくくりとして咳をするきれいさっぱり空っぽになれ(安森敏隆)
中心をどの一枚も求めおり隆々苦くふくらむキャベツ(吉村千穂)


以下雑感

  • 学生の歌はいつのまにか感傷的になるものだなあと懐かしく読んだ
  • エッセイが少ないのが残念
  • 歌合の記録が面白い。文字に起こすのはたいへんだったろう。