『晩夏』&歌集『海の話』(木村輝子)
青春ミステリ。ちょっとパンチ力に欠けたかな。『駅神』のひとの若書きで、なんとなく未熟さが目立つ感じであった。
- 作者: 図子慧
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2010/10/28
- メディア: 文庫
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歌集『海の話』(木村輝子)は九月末にいただきました。
ありがとうございました。
10首選
ラショウモンカズラに出会ふ体育館の裏が大好きな子を追ひかけて
中ジョッキ一杯ゆつくり飲みながら「土屋先生」と言ふたびはにかむ
丸文字がびつしり並ぶ子育ての不安溢れる連絡帳は
これからのことはこれからと見守(まも)りたり真白き産着の小さな手足
病人のシーツま白く風に干す海の話を幼子として
思ひ切り食ひたいなあとくやしがり君の読みゐる『仰臥漫録』
ささやかな人の誇りの奪はれて導尿の管入れられてをり
一番に逝つてしまつていいものかおまへは三男ぞ三十年早い
一言で済ませておけと言ふだらう欠礼葉書びつしりと書く
襞深くしまふかなしみ葉桜の影濃き正門君を立たしむ
以下雑感
- 挽歌で溢れる歌集。悲しみが溢れている。
- 「ゆきがふる」「後ろ姿」「蜜柑の花」の一連が良かった。
- 高い技術により、歌中に夫の姿が死後も見える。