『奥州藤原氏』
『奥州藤原氏』は新書。
名作。
奥州藤原氏についての基本知見を述べる。
構成に茶目っ気があり、まず最初に奥州藤原氏の滅亡、をドンと置き、
ついで奥州藤原氏百年について記してゆく。
前九年・後三年役から語りおこし、
源氏(河内源氏)にとって奥州が如何に怨念に満ち満ちた
征服すべき大地であったか、ということを明らかにする。
アメリカ合衆国がとめどなく西へ膨張したのと似た風景がそこには見える。
黄金がヒトを狂わせたのも似ている。
最終章の金色堂のミイラの話も面白い。
奥州藤原氏四代がミイラにされているのは周知の事実だが、
まつわる話題、たとえば肛門から内臓を取り出したなどの措置はなく、
自然にミイラ化した、などが興味深い。
現代の最先端の技術を使えば、回収できるならDNA鑑定で、奥州藤原氏の出自、
現状、京都貴族の末裔で、俘虜や"アイヌ"ではないとされている出自が
相当正確に判明するのではないか、
いや、DNAを回収できる遺体サンプルが
どれだけ日本国内に存在するのかわからないが、
それはできるだけ全長シークエンスをかけるべきではないか、
噂されているように天皇家のルーツが大陸系でも*1、もうかまわないんじゃないか、
などと思った。
まあオッサンが歴史が好きだったりするのは、
往々にして会社でいろいろあることの代償行為であったりするわけだが、
いや、白河関は死ぬまでに一度行っておかないとダメだな、と思うことでした。
- 作者: 高橋崇
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2002/01/01
- メディア: 新書
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