短歌同人誌『豊作』第二号(豊作の会)


「塔」若手による同人誌第二号。
相当期間おもわせぶりなことを書いたまま放置して申し訳ありませんでした。


同人一首選
途切れつつ話すのが好き 冬の卓に 合間を縫ってきた者どうし(西之原一貴)
聞く耳はあるか騒々しき一本の樫はアトリエの前に立ちいる(花山周子)
風景画画家の十指の指先に残れるや蒼き空のかけら(常盤義昌)
左から右へたなびくきみたちはホームページを遺して消える(塚田雄一)
図書館の自動貸出機音かたっと誰かの気持ちかたまるような(柴夏子)
とれたぼたん拾はむと身を折りたれば草の雫に顔の近づく(澤村斉美)
論文が書けぬままをり貝柱のやうな消しゴム手に握りつつ(北辻千展)
黒猫の歩みはしづかぬおぬおと浮き沈みする双肩の骨(金田光世)


以下、雑感。

  • 歌人研究が「近代歌人」であるのは、らしいといえばらしいです。
  • 北辻さんの歌は不思議な歌ですが、それよりも上句が琴線に触れました。論文頑張りましょうお互いに。
  • 西之原さんのエクスキューズにウケました。


次号も期待しております。