僕の見た「大日本帝国」

僕の見た「大日本帝国」 (角川ソフィア文庫)

僕の見た「大日本帝国」 (角川ソフィア文庫)

文庫落ちしたので再読。
大日本帝国の旧領土を巡り、「帝国」の痕跡を探す旅の記録。
文庫落ちで写真が少し削られているような気がした。
いずれにせよ、本書はゼロ年代の代表的旅行記である。


ゼロ年代についてはコレ*1がよいと思う。
要するに、ゼロ年代とはインナーワールドに篭り続けることができなくなった時代(の始まり)であり、もって旧弊な世界観を変えることにカタルシスを覚える時代である。
何度目かの揺り返しというわけだ。


『僕の見た「大日本帝国」』についていえば、
旧植民地を含めた日本という「禁じられた」ものの見方である枠組みでもって
現在の日本観に一撃を加えているという点でゼロ年代的である、といえる。


『小さいおうち』(中島京子)もそういった面があり、「銃後の世界」を肯定的に描ききったところにリアリティとある種の背徳感を忍び込ませる構造がある。


では、短歌では?という話になるのだが、それはきっとこれ*2で語られることになるのだろう。
私は行けないので、ぜひ冊子にしてまとめて出してほしい。