『秋葉原事件』

秋葉原事件』はノンフィクション。


中島岳志の新刊。
加藤智大の「生涯」を綿密に追跡する。
それは、たしかに中島が述べるとおり、ある種の「文学」である。
同時代を生きる同世代の人間は、「歪んだ自分」を見ることになる。
なぜなら、それは「ありえたかもしれない自分」だからだ。


中島は、この事件を加藤のパーソナリティに還元してよいのか、と問うだけである。
これはあきらかに誘導で、できるわけがない、と答えざるを得ない。


これはただの感想に過ぎないが、人類史上最大の人災である福島原発事故
秋葉原事件は同根である。
「失敗した日本国」の、顕在化したふたつの病理であると思う。
そして、こういう根拠のない感想に背景を与えられるのは、文学のみである。
いずれ誰かが書く。賭けてもいい。でも村上龍が書いたら読まない。


秋葉原事件―加藤智大の軌跡

秋葉原事件―加藤智大の軌跡


牧野先生の考察の続き*1。[100.3. で、そういう対応ができてないのは一体どうして?]がリアルすぎて泣ける。