『文明崩壊』(ジャレド・ダイアモンド)

文明崩壊 上: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)

文明崩壊 上: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)

文明崩壊 下: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)

文明崩壊 下: 滅亡と存続の命運を分けるもの (草思社文庫)


『文明崩壊』(ジャレド・ダイアモンド)は環境科学系のノンフィクション。面白い。かなり危ういような気配が強いが。


現代まで維持できなかった「文明」に焦点をあて、
気候変動や植生、土壌の性質などから、その「維持できなさ」を説明する。
最大のファクターは、「人間の活動」。


最初にイースター島文明の崩壊事例が載っていて、
これは最初に載せるだけあって、かなり内容がショッキング。
あとは、グリーンランド植民地の崩壊などは、かなり詳しく、信頼性が高いように思った。


一方で、日本は「維持できた文明」の例として挙げられているが、
そこで述べられている歴史は、どうも偏り過ぎているように感じた。
というわけで、他にもいろいろあり(多分いろいろ量が多すぎる)、
本書の信頼性は、まあそれなり、話半分とするのがいいのではないか、と考える。


でも、面白かった。


個人的なことを申せば、
これ、昨年末に文庫で出たんだが、読んでいるうちにキンドル版が出てしまい、すこしやる気をなくしたこと、
そもそも出版が、例の2012のマヤ文明の予言にかぶせていたので、なんだかなーと思っていたこと、
が印象深い。


気候変動-再生可能エネルギー-原発の三題噺もそうだが、
これから問題になりそうな、シェールガス・オイル開発による環境破壊、
中国、オーストラリアの環境破壊(ダイアモンドは恨みでもあるのか、っていうくらいオーストラリアにはネガティブだった)など、
今後にいろいろ応用可能な本ではありました。