『霧の塔の殺人』&歌集『鈴を産むひばり』(光森裕樹)
大村友貴美の岩手猟奇三部作の最終巻を単行本にもかかわらず買って読む。磔峠に生首ふたつ。怖い怖い。終盤ニートに関する社会派小説に一転するのがやや奇妙。まあでもこれも持ち味である。
- 作者: 大村友貴美
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/09/19
- メディア: 単行本
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歌集『鈴を産むひばり』(光森裕樹)は先月末にいただきました。
ありがとうございました。
十首選
孵らずのさなぎを裂けば一匙の鱗粉のみに溢れてゐたり
たとへば、だ たとへば僕が飛びおりる高さとしてのブルジュ・ドバイ
平泳ぎ競ふあたまが描きゆくサインカーブとコサインカーブ
垂直にみる地平線右耳にのこる羊水いださむとして
まむかへばいづみにふれるここちして告げるすべてが嘘にならない
あかねさすGoogleEarthに一切の夜なき世界を巡りて飽かず
屋上にきて飲む風のうはずみがくるしきまでに草かをりする
此の国にうまれしことを幸ひとbornをrebornに訂(ただ)して人は
擦れちがふすべての靴の裏側がやさしく濡れてゐるといふこと
死してなほ遺れる友のウェブサイト潰す術なく如月弥生
以下雑感
- 装丁などの好みのベクトルが紀野恵にやや似ている
- 体言止めが多い
- 「雷龍に乗る」の一連はよかった。世界と触れているほうがやはりよいのではないかと思う。