『時の地図』&歌集『眉月集』(本田一弘)
時間SF。舞台は19世紀ロンドン。狂言回しとしてH.G.ウェルズが登場する。始めはアンチSFなのかなと思いきや最後はSFになるという変わった作り。スペイン系の作家のせいか、英米系とは一味違う作り。出来はまあまあだった。
- 作者: フェリクス J.パルマ,宮崎真紀
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/10/08
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歌集『眉月集』(本田一弘)は今月初めにいただきました。
ありがとうございました。
10首選
おほははがぼたもちをはむやさしさのごとくふるゆき彼岸中日
越のくに射水のこほり古江村 眉にやさしき東風(あゆのかぜ)吹く
をとめらのけだるきこゑのひびきあふ とをてくう、とをるもう、とをるもう。
紅ばなのほどなく咲かむ山形のあがた貫きわが自動車(くるま)ゆく
内戦は語られぬまま過ぎきたり東軍兵に英霊はゐぬ
一鳩兵石田哲大の翔ばしたる白鳩の裔いまいづく航く
みちのくの河童寒がり九州の河童暑がり楽しからずや
暮れ方の信夫の山に灯りたる柚子のくがねのごとくさぶしも
冬ふかむ夜を思へば素枯れたるあじさゐぬらす餅雪匂ふ
月光と綿雪の帽かむりつつ吾妻嶺深く耐へてゐるなり
以下雑感
- 平明な歌が多い
- 雪の歌が多い
- 史実に目を向けた歌も多いが、やや半端なところで表現が止っている