『身体のいいなり』

『身体のいいなり』はエッセイ。
著者は某作品でスマッシュヒットを放ったノンフィクション作家であるが、
当時の状況は凄まじいものであったことを告白しており
なまじっかな覚悟では向き合えない「闘病記」に仕上がっている。


作者は乳癌ステージIと診断され、手術を受けるも
すかさず乳癌ステージI-IIと診断され乳房の全摘手術を受ける。
作者の精神は30代日本人の自立した存在そのものであり、
わたしなどは男であるが、その判断その一つ一つに肯いたものである。
率直に言えば、難病に男も女も関係はない。
癌であり、それが女性特有のものだからといって、
その痛みは女性特有のものではない。男性も共有できるものである。そこは声を大にしていいたい。そうでないないならば、男をやっている価値などない。


などという感慨を抱きつつも、本書が優れたエンタテイメントであることに
なんらの瑕疵もつけない。
正直、内澤の出世作にはあまり感心しなかった私であるが、
本作は広く読まれるべき作品と太鼓判を押したい私である。


身体のいいなり

身体のいいなり