『アンダー・ザ・ドーム』

アンダー・ザ・ドーム』はダーク・エンタテイメント大長編小説。


御大スティーブン・キングが健在ぶりを発揮している。
舞台はアメリカのド田舎町チェスターズミル。
ある日、この町が「ドーム」と呼ばれることになる無色透明・無敵の強度を誇る構造体により
地下から上空まで完全封鎖されてしまう。
通過できるのは携帯・ネットの電波および音声のみ。
キングは数十人の登場人物を自在に操り、いくつものストーリーラインを同時進行させる。
軸となるのは、若き合衆国陸軍大佐でハンサム・クール・タフガイのアメリカンなヒーローであるバービーと
チェスターズミルの闇の帝王でデブ・鬼畜・悪のアメリカンなダーク・ヒーローであるビッグ・ジムの対立。
チェスターズミル封鎖後、ビッグ・ジムは悪の本性をむき出しにし、町の完全支配に乗り出す。
その過程で吹き荒れる暴力と殺人の嵐。
チェスターズミルに閉じ込められた二千人はどうなるのか?そもそもドームとは一体なにか?、、、というもの。


上下段組が千三百ページ以上という圧倒的長さで、文庫本なら5-6冊に相当する量を誇るが、
長さを感じさせないリーダビリティは流石のひとこと。
時間つぶしには絶対のお勧めである。


以下ネタバレなので反転。
傑作判定はできなかった。それは以下の三点による。
-長すぎる。

  • 大量虐殺しておきながら最後に日和った。
  • ドームのネタばらしが悲惨。

第二点めに関して。もうバービー一味も殺しちゃってもいいんじゃね?という感じがしてしまう。
逆にビッグ・ジムを殺してしまったのも、勧善懲悪が成立してしまい、これはつまらない。
生き残るのはビッグ・ジムだけだったら最高だったのに。
第三点めに関して。ドームを作ったのが宇宙人の女の子でお願いしたら封鎖を止める、というオチは悲惨。
がっくりくる。こんなことなら、最後までわけがわからないままのほうがよかった。
というところですか。
まあ、それでも面白いです。

アンダー・ザ・ドーム 上

アンダー・ザ・ドーム 上

アンダー・ザ・ドーム 下

アンダー・ザ・ドーム 下