『道教の世界』

道教の世界 (講談社選書メチエ)

道教の世界 (講談社選書メチエ)


道教の世界』は学術書。入門書寄り。
傑作。


本書は、日本で受容されていない「道教」という中国独自の
「思考」「宗教」体系についての入門書である。
たいへん読みやすく、話題も豊富で、面白い。
日本のわけのわからぬ風習は、道教由来であったりすることも多く、
民俗学文化人類学に興味がある向きには特にお勧め。


はっと目をみひらく言辞の宝庫である。例えば、

倫理や道徳といえばすぐに儒教を思いうかべてしまう。しかし儒教のそれは士大夫が対象である。官僚階級のことである。庶民はそこには入らない。庶民にとっての道徳は、少なくとも近代以前の中国では、むしろ道教が説く倫理によってささえられていた。

などなど。知らなかったので唸るしかない。


その他、『道教文学』や「庚申信仰」など大変興味深い。
特に『道教文学』については、
これを取り入れたマンガ『ネクログ』が大変良い感じなので、
マンガ好きにもいい感じである。
多分、ゲームは道教ネタは少ないので、クリエイターの人は
手垢のついた北欧神話とか捨てて道教に走るのはどうか。
あと、「庚申信仰」は歌人とは縁遠からぬものなので、気をつけておきたい。


などなど、コネタの宝庫としてお勧めである。