『はるか南の海のかなたに愉快な本の大陸がある』

はるか南の海のかなたに愉快な本の大陸がある

はるか南の海のかなたに愉快な本の大陸がある


『はるか南の海のかなたに愉快な本の大陸がある』(宮田珠己)は書評集。
傑作。


書評は難しい。
だから、書評はプロが書くべきである、せめて新聞では。


宮田珠己は現在、日本で文章が上手い10人に入る。
この人の文章の凄さは、読まないと決してわからない。
文が、まったく重くない。絡み付いてこない。偉そうではない。
でも、人情がないわけでなく、知的で、おそらく、華やかだ。
まだ読んでいない人は幸いである。
あなたは宮田珠己をこれから読めるのだから。


この本は書評集なので、本が紹介してあるわけだが、
その本の種類は、大幅に変である。
そして私好みの本ばかりである。
ちなみに読んでいた本は二冊しかなかったので、
とりあえず読みたい本を片っ端からアマゾンで注文したら、
請求が一万越えていて、焦りました。
でも、間違いなく普通の本屋には置いていないから、
仕方ないのである。


宮田珠己は、とりわけ補陀落渡海に興味があるようで、
共感した。
私は修験道系の山を結構選んで登っているのだが、
まだ、熊野には行ったことがないのである。
悔しい。
熊野に行くまでは死ねない、とか言う。


それはさておき、あきらかに変な本ばかりを紹介した文章が、
こんなに普通に読めることがそもそもおかしいのである。
宮田珠己の凄みは、凄くないような気がする、ところにあるのである。
まあ、読んでみてください。
本として面白いから。