『宮柊二の歌三六五首』(柏崎驍二)

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宮柊二の歌三六五首』(柏崎驍二)は今週いただきました。
ありがとうございました。


タイトル通り、宮柊二の歌を三六五首挙げ、それに解説の小文をつけている。
紹介の順番は編年的で、それ以外の要素、たとえば章立てや序論などは全くない。
ただひたすら、歌と小文だけがあり、それが始めから最後まで続ききる。
これは、完全に意図されたもので、つまりは「歌を読め」ということである。
小文の内容も、初出と、やや難解な語彙の説明に多くがさかれ、徹底的な自制がみえる。
シンプルなものほどごまかしは効かず、あるいは時による摩耗を読者としてはつい勘案してしまうのだが、
この著者は宮柊二の歌に深い自信をもっており、私はそこに圧倒された。


好きな歌を一首だけ挙げる。


いろ朱き梔子の実を人賜ひきあはれ静かに居れと賜ひしか (『藤棚の下の小室』)


私はこの歌を素晴らしく良いと思うし、それにつけている柏崎の短文の端的さも好きだ。
宮はこの歌をよく揮毫したということである。お持ちの方は、家宝でしょうね。私も欲しい。