『謎の独立国家ソマリランド』(高野秀行)

謎の独立国家ソマリランド

謎の独立国家ソマリランド


『謎の独立国家ソマリランド』(高野秀行)はノンフィクション。
大傑作。今年NO.1ノンフィクション(でもいい)。


アフリカの角、と呼ばれるソマリア
今、全土で内戦がおきているとされているが、
実はそれは旧イタリア領の南部(含首都モガディショ)のみで、
北部の旧イギリス領は平和で治安もよく、
それどころか独立宣言をして「ソマリランド」を名乗っているという。
もちろん、国際社会には認められていない。


著者の高野は、この謎の「国家」に赴き、
いったい何がどうなっているのかを体験する。
そこでの現実、人柄・経済・政治・治安・民主主義は、
まさに驚天動地の話で埋め尽くされる。


文体を丁寧にくだき、難しい状況の紹介も、戦国武将の名を使用するなどして
ともかく会話についてこれないひとを出さないように配慮する(よって、本書は学術書、としての欲望はない)。
思想的な判断も、常識的で、融通無碍で、バランスがとれており、信頼できる。


はっきり申し上げると、この本は最高に面白い。
読まない手はない。
絶対なにかの賞を獲るべき。