歌集『声を聞きたい』(江戸雪)
- 作者: 江戸雪
- 出版社/メーカー: 七月堂
- 発売日: 2014/09
- メディア: 単行本
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先月頂きました。ありがとうございます。
10首選(☆一首選)
アーモンドタルトはさんで夕ぐれと夕ぐれの木のようにふたりは
ふらふらと春の埃にまぎれゆく たまごのような胸を広げて
きよらかに葡萄包めるセロファンはかがやきにけり朝の厨に
嘔吐するまでけんかして帰りくる子のジーンズをざぶり洗えり
たわたわとまぶしい朱欒(ざぼん)こえあげて泣いた私はきのうのわたし
「あんたなんか」と言われた日もある その声は椿の照葉のようにきれいで
アクセルをふみこむ前にボリュームをあげたり秋にねばる淀川
カーブするときに胸から湧く声を喉にちからをいれてとどめた
そんざいをけしてくしゃくしゃ歩いてるブルームーンおまえだけおまえだけ
☆わたしにはどうすることもできないよ山のむこうのむこうオレンジ
以下雑感
- 川、水、光などの綺麗な言葉を軸に全体が展開
- 読んでいてストレスかからないのがよい
- 川が固有名詞化されているのが結構大きな変化かも
- 植物名増える。わりとマイナーなのが出てる。あららぎぶり。ちょっとしたアクセント。
- 個人的には「もうほとんど"資源"がない」と思っているリフレインの歌、に良歌が目立つ。
- 石油掘りつくしたあとで、シェールガスが出ているような感じ
- 「言葉」についての形而上な歌が大切に扱われている。ただ、イメージの共有は難しい。
- 河野挽歌、とくに同性には相当きついところがあったことを思い出すなど。
以上です