『私のマルクス』

『私のマルクス』(佐藤優)は自伝。
傑作。


1970年代後半から1980年代前半まで、
佐藤優浦和高校生・同志社大学生だったときの青春の記録。
このころにはまだ学生運動の燻りが残っており、
特に同志社ガラパゴス的な拠点になっていたらしい。
佐藤は神学部に属し、キリスト教神学を専攻しながらも
当時の教養としてマルクス主義の文献を読み込み、仲間と語らう。


凄まじい知的活動量であり、広さ・深度ともに圧倒的である。
尊敬に値するし、自分の大学時代を顧みて、恥じた。
わずか十五年しか世代は変らないのに、この差はどうだ。
信じがたい思いがする。


佐藤は最後に、「過去にマルクス主義者であったこと」はなく、
「行動の規範は、あくまでもイエス・キリストである」と述べる。
宗教がもつ強靭さには恐るべきものがあるとしか言い様がない。


私のマルクス

私のマルクス