『雑文集』

『雑文集』は雑文集。
傑作。


村上春樹のエッセイともつかぬ雑文が約70本。
坪内祐三村上春樹は小説は悪いがエッセイはよいといったが、
私は半分だけ賛成。春樹は小説もよいからである。


村上春樹の最大の特徴は、リズムにある。ものすごく読みやすいのである。
実は、かなり難解なことを書いてあるのだが、リズムとたいへん地道な比喩が、そのことを感じさせない。
ある種、神の仕事である。すばらしい。


かなりメモをとったが、ここでご紹介するのはふたつ。


ひとつは、『ノルウェイの森』のエピソード。
本当はNorwegian Woodではなく、Knowing She Wouldであった可能性について。
英語が得意な向きにはこれでわかるし、わからなければ本書を読めばわかる。
まあ、確かに、それはIt's goodでありますわなあ。


もうひとつは『壁と卵』。例の歴史的なスピーチが本書には収められている。
下手すりゃ、これだけでも買い、だよなあ。
そのほか、いろんな文学賞の受賞スピーチや友の娘の結婚式に送った言葉などがあり、
これはぜひとも参考にしたいと思う次第。めちゃ格好いいんだもの。


村上春樹 雑文集

村上春樹 雑文集