『「フクシマ」論』
- 作者: 開沼博
- 出版社/メーカー: 青土社
- 発売日: 2011/06/16
- メディア: 単行本
- 購入: 18人 クリック: 616回
- この商品を含むブログ (73件) を見る
傑作。
福島のあの地に、なぜ原子力発電所がつくられたのか?
ということを、戦前の歴史から辿りなおし、
その構造を鮮やかに解明している。
それは日本の近代化から眺めた「フクシマ」である。
まことに素晴らしい仕事である。
開沼は、植民地経営論にそのロジックの多くを託す。
そして、日清戦争以後大戦敗戦までを「外へのコロナイゼーション」とし、
大戦敗戦後フクシマまでを「内へのコロナイゼーション」とする。
この、「内へのコロナイゼーション」という洞察が
圧倒的に見事なのである。
そしてそれは3.11で矛盾と破綻をさらけ出した。
本書は重層的な議論がなされており、
以上のまとめは簡便にすぎるし、
ともかく本書を読んでいただきたい、としかいえない。
付箋をつけたとこころを再消化するだけでも大仕事になる。
そもそも、この本を書ける人間が存在し(修士論文だぞ!凄い!)、この本を出版・評価する集団があり、
受け手の本屋と読者が存在することは、日本の希望である。
絶対の必読書。